肥満に伴う糖尿病治療
肥満に伴う糖尿病治療
医学的な「肥満」とは、体重と身長から計算される「BMI」が25以上の状態を指します。BMIは、次の式で計算できます。
BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
例えば、身長1.6m(160cm)で体重100kgの場合、「60 ÷ 1.6 ÷ 1.6」という式になり、計算結果でBMIは「39.0625」となり、「肥満3度」と判定されます。
BMI | 肥満度判定 | WHOの基準 |
---|---|---|
18.5未満 | 低体重 | Underweight 低体重 |
18.5~25未満 | 普通体重 | Normal range 普通体重 |
25~30未満 | 肥満(1度) | Pre-obese 肥満予備軍 |
30~35未満 | 肥満(2度) | Ovese class I 肥満(1度) |
35~40未満 | 肥満(3度) | Ovese class II 肥満(2度) |
40以上 | 肥満(4度) | Ovese class III 肥満(3度) |
※日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2016」より
肥満と糖尿病(特に2型糖尿病)は密接な関連性があり、肥満が2型糖尿病の主なリスク要因の一つとされています。肥満に伴う糖尿病のリスクは以下のようになります。
肥満を放置すると深刻な健康リスクを招く可能性があります。肥満は他の病気に比べて軽く見られがちで、「少し太ったかな?」と感じても、すぐに医療機関を受診する人は少ないでしょう。しかし、肥満を放っておくと、脳卒中や心筋梗塞、糖尿病、腎不全といった重大な病気のリスクが高まります。
日本肥満学会が「肥満症治療ガイドライン」で示している「肥満に関連する11の健康障害」は以下の通りです。
このように、肥満は多岐にわたる健康問題を引き起こす可能性があります。リスクの程度は、肥満の期間や併存する疾患の有無によって異なるため、定期的な健康診断を受けて自分の体重管理を行い、適切な治療を受けることが重要です。
当院では、糖尿病専門医が、医学的な根拠に基づいた安全で効果的なダイエットプランをご提供しております。患者様一人ひとりの病状に合わせた個別のご提案を行っておりますので、ご理解いただければ幸いです。
当院の食事療法では、管理栄養士が適切な食事量、栄養バランス、食事の摂り方(早食いの回避、規則正しい食事時間の確保など)や、飲酒の仕方(種類・量・頻度)について詳しくアドバイスいたします。急激な食習慣の変化は大きなストレスとなることが多いため、患者様の現在の食習慣や体重、健康状態に基づいて、無理なく実践でき、継続可能な方法をご提案いたします。
運動療法においては、有酸素運動や筋力トレーニングなど、適切な運動習慣を身につけるための指導を行います。高尿酸血症や高血圧症の方に対しては、過度な運動が健康に悪影響を与える可能性があるため、医師、看護師、栄養士と連携して、個々の健康状態に合った運動の種類や強度を検討します。ケガのリスクを避けつつ、楽しみながら続けられる運動を選ぶことが、成功の鍵です。日常生活の中でも、通勤時に1駅歩く、階段を使うなど、取り入れやすい工夫をご提案いたします。
当院の内科・糖尿病専門外来では、糖尿病、高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病をお持ちの方に、各疾患に適した薬物療法を提供しています。特に肥満を伴う2型糖尿病の治療に際しては、病状にあわせてGLP-1受容体作動薬やSGLT-2阻害薬など、体重減少効果も期待される薬剤の処方も検討し、効果的な治療を目指します。
GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病治療において、血糖値を下げるインスリンの分泌を促進し、血糖値を上げるグルカゴンの分泌を抑制することで、血糖値のコントロールを行います。さらに、胃の運動を抑え、脂肪燃焼と食欲抑制の効果も期待できるため、体重減量をサポートします。GLP-1受容体作動薬は、注射や内服薬として使用されています。
SGLT-2阻害薬は、糖尿病の治療において腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑えることで、尿から糖を排出することで血糖値を下げる作用がある内服薬です。また本剤は血糖降下作用だけではなく、脂肪減少作用や浸透圧利尿作用を有することから、体重減少や血圧降下作用、心血管イベント(心不全)の発症を優位に抑制する事が期待される薬剤です。
国分寺市・小平市近辺にお住いの方で、糖尿病専門内科のご受診を希望される方は、Webまたはお電話でのご予約を承っております。スムーズに診療を受けていただけるよう、ご予約をおすすめします。
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